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2009年4月25日 (土)

【Book】安政五年の大脱走

510pnnqk2el__sl500_aa240_安政五年の大脱走 (幻冬舎文庫) 五十嵐貴久
2005年のロケットボーイズがおもしろかったので他の作品も読んでみようと思い、書評でわりと良さそうだったこれを選んでみました。

映画「大脱走」のオマージュではありますが、舞台を日本の安政五年、開国派と鎖国派が対立していた幕末を選んだところが、この作者のすごいところだと思います。
しかも、敵役に大老・井伊直弼をチョイスしているのも驚愕ですね。

1章でなぜこのような事になるのかという経緯が語られ、2章から大脱走に向けた物語が始まります。
脱走方法は「大脱走」と同じ。でも、置かれた条件はもっと厳しいものになります。

ここが特に良いなと思ったのですが、要所要所に武士道精神が描かれています。
これが足枷になったり、強い意思に繋がったりと、時代小説としての面白さをかきたててくれます。
そして、その精神を描くことにより、敵役の一人である長野主膳の「武士道精神の欠落」を際立たせていると思います。

結構な厚さの文庫なのですが、そのほとんどが地味な作業の苦労話が占めています。が、なぜか先を先をと読み進めたくなるのは、この著者の文才なんだと思いますね。
正直、ロケットボーイズの文章は個人的にはイマイチ馴染めない感じだったのですが、こちらは結構心地よい文章で、どんどん読みたくなりました。

解説でも触れられていましたが、それがこの著者の特色らしく、作品ごとにまったく雰囲気が変わり全然傾向が特定できないんだそうです。
不思議な人ですね。

絶対このまますんなりとは終わらないだろうとは思ってたのですが、ラストには驚かされました。
しかも、「あんなのが布石になってたの?!」という意外性で、結局その後はあやふやにしか書かれていませんが、それはそれでありだなと納得させられました。

これは面白かった。
ただ、他の作品も肌に合うかどうかわからないというのは、ちょっと悩ましいところですね。

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