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2009年3月 9日 (月)

ノーライフキング

ノーライフキング (河出文庫) いとうせいこう
まず、この作品は1988年に書かれた物だという事に驚かされます。
物語の中核を成すのは、ライフキングというRPG。これはまさにネットワークゲームそのものです。
時代的にはちょうどドラクエ3が発売された年に重なります。
当然ながらインターネットも無く、さながら星新一を彷彿とさせるような未来予想図とも言えるんじゃないでしょうか。

私は上記背景を知らずに読んだため、結構違和感を感じました。
大人気のゲームという割には古臭い感じがするし、何より画面にはカタカナしか表示されない。
コンピュータを使った学習塾も、同じようにカタカナで学習する。
どこにもPCの面影が現れず、唯一登場するのが家庭用ゲーム機「ディス・コン」。
それも当然、この作品が書かれた当時、誰が今のようにPCやインターネットが普及するなんて想像できたでしょうか。
あとがきで作者自身が「降りてきた」と表現しているだけあって、考えてみれば鳥肌ものの小説ですよね。

描かれている事柄はまさに今のインターネット時代に起こっているような事。
子供が独自のネットワーク世界でコミュニケーションを取っている。大人はそれを理解できない。
理解できないくせに知った風な大口を叩いて、ゲームは悪だと批判する輩もいる。
それが大衆を煽ってゲーム撲滅という動きになる。
でも、その結果は最悪な状態になる。
概ねこんな感じの物語です。

子供だけが何かを感じ、子供だけのネットワークで情報を交換しあう。
でも、対処方法がわからず、怯え、足掻く姿が痛々しくも、どこか今の世界に重なります。

正直言うと、ちょっと読みづらい印象ではありました。
でも、だんだんと危機感が増していくにつれ、惹きこまれていく感じです。

この作品は未完です。
20年経った今でも、戦いは終わっていないのです。

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